城は山麓の居館地区・山上の詰めの城である要害地区・城下町、武家屋敷にあたる根小屋地区にわかれた典型的中世山城。築城年代から考えて、武田勝頼の新府城などと並んで中世山城の最終形と考えられます。現在残っている遺構も相当に広い範囲で、最低でも半日コースなのですが、往時は現在の横川町あたりまでが惣構えの範囲だったそうで、周辺の支城群なども含めると、関東屈指の巨大山城でした。崖城や沼城など、平城、平山城を好んで作った北条氏最後の築城が屈指の巨大山城で、城主不在の中、しかもそれがたった一日で落城してしまったあたりに、皮肉な運命が感じられます。この悲報を小田原城で聞いた城主の氏照は、床を叩いて号泣した、といいます。
最初の見学は2001年2月。夕方から雪の振った、非常に寒い日でした。この時は居館地区と要害地区の主なところを見て回ったのですが、後で見逃した遺構が多数あった事がわかり、二度目の攻城となりました。
公園正面からの登山道である新道はよく整備されているのですが、新道はよく整備されているのですが、ところどころ急な傾斜や段差の大きい石段があり、それなりに体力を使います。また、途中あちこちに分岐する小道があり、入ってみると小曲輪だったり、八王子城に何のゆかりも無い石碑だったりします。この小道は獣道に近く、冬はまあいいとしても夏はちょっと入るのがためらわれるでしょう。また小道が所々さらに分岐しているのですが、案内板が無いためなんとなく心細い。まあどの道も、最後は新道に繋がっているみたいなので安心ですが・・・
山上の八王子神社のさらに上に細い道があり、本丸へ通じています。八王子神社付近(松木曲輪)からは、八王子市街から都心、相模湾、遠く筑波の山塊まで見渡せます。
なおこの松木曲輪から尾根づたいに西へ向かうとさらに「詰めの城」があり、馬冷、石塁、堀切などがあります。一回目の時は体力の限界でそっちまで行くことはできませんでしたが、今回はきっちり見てきました。最初の頃に比べて山歩きも慣れてきて、今回は楽勝でしたね。
なんでも八王子城はこの地方最大の心霊スポットだそうで、夜でも怖いもの見たさに御主殿の滝のあたりを訪れる人がいるとか。秀吉の北条討伐にあたり、「見せしめ」として徹底的に殺戮が行われた場所であるだけに、そうした言い伝えも残るのでしょうが、どうか戦死者の魂の安息を乱してくれることの無いように、お願いしたいところです。
それから、要害に行くなら靴はキチンとしたものでないと辛いです。
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