八王子城見学のついでにちょっと立ち寄った城。八王子城付近の「城跡入口」交差点から高尾街道を北上、八王子霊園を過ぎてほどなく、短いトンネルをくぐるのですが、このトンネルの上が小田野城です。伝説と思われていた城ですが、昭和五十三年の調査で初めて実在したことが明らかになったらしいです。城の下のトンネルは、もともと道路建設の際にこの丘を切り崩す予定だったものを、城跡の発見によってその保護のために急遽トンネル化したものなのだそうです。当局の英断に拍手を送りたいと思います。とはいえ、残念ながら見学のための通路等は無いようで(※)、丘の周囲はフェンスに囲まれていました。山の中ならばこんなフェンスのひとつやふたつ、平気で無視して乗り越えるところなのですが(^^;)、生憎周囲の宅地化も進んでおり、道路の交通量も多いことから不審者まがいの行動をとるわけにも行かず、ささっと眺めて終わりにしました。なんでも、数段の削平地があるだけで(※)、恐らく未完成の城だろうといわれているとか。上杉景勝の軍勢に攻め滅ぼされたとも伝えられるようですが、恐らくは当時の北条氏の戦略方針を考える限り、この小田野城で直接戦闘が行われたわけではなく、城主以下一族郎党はすべて八王子城に招集され、未完の小田野城はそのまま放棄されていたのではないかと考えます。
何はともあれ中が見れないのではしようがない。「チッ、どうせ未完の小城だし。。。」と、まるで葡萄の木に手が届かなかった狐のような負け惜しみを心の中でつぶやきつつ、日没に追われながら片倉城へ向かう僕でした。
(※)読者のご指摘で、城跡は公園化されている、とのことです。竪堀などもあるそうです。何かの機会に確認しにいきたいと思います。