関東の覇権を賭けた河越夜戦

川越城

かわごえじょう Kawagoe-Jo

別名:河越城、初雁城

埼玉県川越市郭町2丁目

(初雁公園)

城の種別

平城(沼城)

築城時期

長禄元(1457)年

築城者

太田道真・道灌

主要城主

扇谷上杉氏、北条氏、徳川譜代

遺構

本丸御殿、富士見櫓跡、土塁他

川越城本丸御殿<<2001年9月15日>>

歴史 

扇谷(おおぎがやつ)上杉家の上杉持朝が古河公方の南進に備え、太田道真・道灌父子に築城させたのがはじまり。北条氏が武蔵に進出すると、扇谷上杉朝興は各地で激戦を繰り広げたが、天文六(1537)年、上杉朝興の死後、北条氏綱は川越城を襲撃し奪取、当主・上杉朝定は上田政広の守る松山城に退却した。天文十四(1545)年、関東管領・山内上杉憲政、扇谷上杉朝定は古河公方・足利晴氏を味方に引き入れ、北条綱成の守る川越城を包囲した。その数八万と言われる。北条氏康は今川義元と対立して駿河に出陣中であったのですぐに援兵を送れず、翌天文十五(1546)年四月一日、今川との和議をまとめ、川越城の援軍に出陣する。氏康は和議をちらつかせながら敵情を探り、上杉・古河公方連合軍が油断しているのを感知し、四月二十日早暁に奇襲攻撃をかけ、八千の兵で八万の敵軍を追い散らし快勝、扇谷上杉氏の当主・上杉朝定は討ち死にして扇谷上杉は断絶し、武蔵一円を領国化した(河越夜戦)。天正十八(1590)年の秀吉の北条討伐では前田利家の北方軍に囲まれ降伏。家康の関東移封後は江戸守備の要衝として譜代家臣が歴代入城し規模を拡大した。現在も川越市には川越城の他、喜多院、時の鐘、蔵造りの商家など、江戸時代の風情を伝える「小江戸」として知られる。

名将・北条氏康と「地黄八幡」北条綱成。河越夜戦はこの二人の信頼関係が実を結び、苦しい情勢の中、十倍にも及ぶ敵軍を追い散らし、武蔵一円を支配下に治める事に成功します。関東最大の戦国大名・北条氏の絶頂の時代がはじまります。結局、この戦いで扇谷上杉氏は滅亡、山内上杉氏も上州平井城で抗戦するも敵わず、長尾景虎(のちの上杉謙信)を頼って越後に落ち延び、古河公方・足利晴氏は北条氏に首根っこを掴まれて、完全に北条氏の支配下に置かれることになります。この川越の地は、北条氏の飛躍への大いなる一歩だったのです。

なんと言っても見所は本丸御殿。幕末の建造なのですが、本丸殿舎の遺構は全国的にも貴重らしい。でもその割には御殿の前はアスファルトの道路で車がビュンビュン走ってるし、あんまり大切にされていないような・・・遺構はこの他に富士見櫓跡等があるのですが、最初の訪問時は日没と「デジカメの電池切れ」という挟撃を受け見学はこれにて終了。二度目の訪問となりました。富士見櫓跡、天神曲輪の土塁など、部分的に遺構は残りますが、全体としてみれば残っている部分はごくわずかで、道灌が築城した名城の影は偲ぶべくもありません。まあ都心への通勤圏にあるベッドタウンですからね。殆どの城跡は宅地や学校になっちゃってるんでしょうね。現在の市役所のあたりが大手門だったそうで、「大手町」「郭町」などの地名が残ります。

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本丸御殿の廊下。入館料は100円です。 使番詰所。
家老詰所では、重臣たちが絵図を指しながら会議中。 これは何でしょう。そう、トイレです。もちろん使えません。男子小用もあります。
天神曲輪付近に残る土塁。石垣は後世のもの。 「通りゃんせ」で有名な天神様の細道。いまでは全然細道ではないけれどね・・・。
富士見櫓跡前の田郭門跡。草むらにひっそりと・・・。 富士見櫓跡。この上に御三階櫓が上がっていた。なんと再建計画があるそうな。しかし住宅地の真中ですよ。。。
三ノ門跡付近。門跡はありませんが、道は食い違いの姿をそのまま残しています。 大手門跡。現市役所付近。このあたりは丸馬出しがあったのですが、今は跡形もありません。
太田道灌像。21世紀の川越の町は、道灌の目にはどう写る? 明治の再建、鐘櫓「時の鐘」。今でも時を刻みつづけています(電動ですが)。付近には蔵づくりの商店が並んでいて、じーさんばーさんをはじめとした観光客で一杯。狭い道を観光バスが連なっています。

交通アクセス

関越自動車道「川越」IC車20分。 

JR・東武「川越」駅より徒歩20分・

周辺地情報

喜多院を始めとした江戸期の旧跡、また上杉氏進出前の在地土豪「河越氏」の「伝・河越氏館」など。

関連サイト

 

 

参考文献

「日本城郭大系」(新人物往来社)、「真説戦国北条五代」(学研「戦国群像シリーズ」)、「戦国関東名将列伝 」島遼伍/随想舎、「日本名城の旅 東日本編」(ゼンリン)、「戦国合戦大全(上)」 (学研「戦国群像シリーズ」)、「日本の城 ポケット図鑑」(西ヶ谷恭弘/主婦の友社)ほか

参考サイト

埼玉の古城址房総の城郭

 

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