攻城日記

<<信濃城攻め紀行:7日目>>

僕の勤務先の某社では、勤続10年で「長期勤続者特別休暇」(7日間、軍資金付き)が貰えるのです!こんな会社でも10年も働いてればいいことあるんだね〜。で、念願の信濃への城廻りの旅に行ってきました。ここではその模様を簡単にご紹介します。いよいよ一週間が経過。
見学先 小諸城、平原城、葛尾城荒砥城
見学日 2002年11月09日(土)

 

08:20 本陣の善光寺平を撤収。今日は松本平に本陣を移す日だ。最初の見学地は小諸城、長野ICから小諸ICへ。天候は良いが予報はちょっと怪しい。
09:00

小諸城(長野県小諸市)

小諸城、というよりも「懐古園」、信州最大の観光地のひとつでもある。上田にいる間に見たかったが「菊花展」をやっていたため延期して本日見学。こういう観光地には朝早めに行って混む前に見学終了するに限る。「真田ふれあい館」で貰った100円割引券を使う。観光地化した近世城郭ということもあり期待していなかったが大間違い、素晴らしい城だった。

「穴城」と言われる城下町より低い地形も、前面の千曲川の断崖、周囲の浸食谷を見れば納得できる選地。各門の跡、礎石や石段も明瞭で見応えがあった。もちろん近世城郭として政庁の機能が重要視されたであろうが、縄張や選地は闘う為の城郭であることが感じられた。山本勘助の縄張りと伝わるが、なんとなくホントかな?という気にもなる。島崎藤村はじめ、文学にも関わりの深い地だ。懐古園の外には近世の大手門や本陣などがある。ここは歴史と文学の街なんだなあということを実感しつつ、大型の観光バスが続々入ってくるのを横目で見ながら撤収。でもここに来ている観光客、一度くらい藤村読んだことあるのかなあ?

11:10

 

 

平原城(長野県小諸市)

遠藤周作氏の「埋もれた古城」の中で小諸城や上田城よりも高い評価を得ていた丘陵城郭だが、遺構の残存度は芳しくなかった。宅地造成や土採りが進み、堀と思われる場所もほとんどが道路になっていた。特に南側斜面は土採りによって潰滅、その他の場所も盛んに造成が行われていた。宅地化や農地化はまだなんとか我慢が出来ても、城跡にとって土取りは「死刑」に等しい。

おそらくかつては台地上の谷津や浸食谷をとりこんだ多郭雑形の複雑な縄張の規模の大きい城であっただろうが、いまや当時を偲ぶのが難しい。城址碑も解説板も無い。正直なところ、遠藤氏が絶賛した理由がよく分らなかった。期待していただけにちょっと残念。青空から小雪が舞ってきた。天候は下り坂か。この付近から見る、雪を頂いた浅間山の姿は本当に美しい。

12:40

 

 

葛尾城(長野県埴科郡坂城町)

北信最大の豪族、村上義清の本城。比高差も300m以上あり、実に壮大な山城。今回の旅で実は一番不安だった城でもある。

麓の満泉寺が居館跡で、その背後の坂城神社付近から登山道がある。午後から天候が怪しくなり、小雪が舞っていたがすぐ晴れるだろうと登り始める。しかし、尾根筋に出る頃に本降りに。足下に注意しながら登る。結局、それなりに山城に慣れている自分の足でも50分近くかかった。主郭付近は雪で全く視界がなくなりシャレにならないと思ったが、あづまやで15分ほど休息していると、天候が急激に晴れはじめて安心した。千曲川沿いの支城群や遠く上田の盆地まで見渡せる。たしかに信玄にとっては、小県から川中島に進出するには、この葛尾城と村上義清は、なんとしても邪魔だったに違いない。主郭前面は腰曲輪主体、背後は大きな堀切が連続している。姫城にも寄りたかったが帰り道の天候がまた怪しくなってきて断念した。まあ比高差も天候も、なんとかなるもんである。でも、荒天時の山城はやっぱり危険だ。皆さんにはオススメしない。悪い例。和合城、狐落城などの支城群もまた今度のお楽しみだ。どこかで鹿の鳴き声がする。

15:00 荒砥城(長野県更級郡上山田町)

葛尾城の千曲川をはさんだ対岸にある。村上義清と信玄の北信争奪戦にもまきこまれた城である。葛尾城からよく見える。巨大な葛尾城から見ると、まさに小城である。

三方を尾根に囲まれた谷津の中の「城野腰二の入」の居館を守る、殿谷形式の複合城郭群。本城の荒砥城は遺構が云々、というよりも、復原された建物群が見所。中世山城の建物群を木造で比較的本格的に再現している。賛否両論はありそうだがなかなか楽しくて僕は好きだ。がしかし、雪がいよいよ本降り、二郭の資料展示室(ビデオ上映も見られる)で天候回復を待つが、シャレにならない降り方で屋根の上に積雪も見られ始めた。寒さも半端ではない。山の上なもんだから、吹き上げる風に乗って上から下から雪が容赦なく吹き付ける。景色が全く見れなかったのは残念だが相手が天気では仕方ない。冬の山城の籠城戦は大変だっただろうなあ。。。思いがけず冬の山城の辛苦を味わうことになる。雪に追われ退散。

16:00 午後四時前だがすでに雪のため薄暗くなり本日の城攻めはこれにて終了。
途中で食事と二時間ほど仮眠を取り松本へ。
20:50 おまけ:松本城夜景

松本着。そういえばライトアップやってたっけなあ、なんて思い写真を撮りに行く。現存天守を見るのは一年半前の姫路城以来である。ライトアップといっても、変にギラギラしていなくて控えめなのが好感が持てる。下見板張りのスマートな天守は思ったより小ぶりに見える。でも寒いから明日日中にゆっくり見ることにして撤退する。

21:30 松本の本陣着。最後の本陣となる予定である。

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