攻城雑記その8

史跡保護と土地利用の狭間で

15/01/31

皆さんも感じてることでしょう。訪ねた先の城が、住宅地になっていたり、道路や線路に分断されていたり、農地としてキレイに整地されていたり、土取り場として跡形もなく切り崩されていたり。そんな時「貴重な史跡に何をするんだ!」と、怒りとも絶望とも諦めともつかない気持ち、持ったことありませんか?

僕はある程度、諦めているところがあって、それは往時、数万もあったと言われる城の全てを保存することなど、社会情勢から見て不可能だと思わざるを得ないからです。都市部の平城であれば公共施設に生まれ変わったり、住宅地になったり。地方の城であれば堀を埋め土塁を崩して、畑になったり工場になったり。ほんとは、とても貴重な遺構だったりするのに、跡形もなく破壊されていく姿を見るのは、涙が出るほど悲しいし、悔しいことです。でも、すべてを守ることは不可能だと思うんですよ。とくに、城址そのものが著しく危険な場合や、治水政策上止むを得ず堤防の下に埋められてしまったりする場合、遺構の貴重さよりもそこで暮らす人の人命や安全が優先されるのは、言うまでもありません。

しかし、せめて歴史的に重要な、あるいは、城郭としての遺構が良く残っている、などの場合は、自治体を中心に、主要な部分だけでもきちんと保護されるような動きに期待したいですね。山中城逆井城など、史跡保護と公園としての整備が非常にバランスよく行われている例もあります。玉縄城のようになってからでは手遅れです。ぜひ、生活と史跡保護のバランスポイントを見つけ出して、共存できるような社会になれば、と思って止みません。

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