那須与一伝説の城

高館城

たかだてじょう Takadate-Jo

別名:

栃木県那須郡黒羽町川田

城の種別

山城

築城時期

不明(平安末期?)

築城者

那須資隆(?)

主要城主

那須氏、河田氏(?)

遺構

曲輪

高館城からの景色<<2005年03月27日>>

歴史

築城時期は明らかではないが、那須氏六代宗資のときに神田城から稲積城に移り、十代資隆に至って高館城に移って神田城は廃城となったという。また、源平の争乱期に那須与一宗隆の兄弟のうち兄九人が平氏側に与し、平氏滅亡後の文治二(1186)年二月、源頼朝の命により梶原景時ら三千の兵が高館城に攻め寄せ、五月に落城したとも伝わる。また、那須頼資の六男・資成が河田(川田)に分知されて河田氏を名乗り、その要害として取り立てられたという説もある。

高館城は黒羽城の北、伊王野城との中間附近にあり、それほど高い山ではないながらも突出した異様な山容は遠目でもなかなか存在感を放っています。直下の県道には高館トンネルが貫通しており、トンネルの北側300mほどの場所から山頂付近まで、綺麗な舗装道路があり、車で楽々登れます。

高館城の伝承は古く、あの那須与一宗隆の父、資隆が築いたとも云われています。ということは与一が生まれたのはまさにこの高館城であったでしょうか。これとは別に、源平争乱に際して平氏に与した与一の九人の兄がこの高館城に立て籠もり、頼朝に派遣された梶原景時によって攻め落とされた、などという話もあります。ただ、実際に平安末期のこの時代に山城を居城としていたとは考えにくく、与一出生伝説も与一の兄たちの籠城伝説も、あくまで「伝説」と捉えたほうがよさそうです。

実際には、那須氏から分かれた一族の河田氏の館がすぐ近くにあり(現在は湮滅)、その要害だったのではないか、というのが妥当な線でしょうか。あるいは位置的には那須領北方の狼煙中継点のひとつと捉えることもできそうです。

この手の急峻な山は得てしてあまり人工的な遺構を残さない場合が多いのですが、高館城も例外ではなく、遺構面ではあまり目立つものはありません。山の上は一応平場にはなっていますが、削平自体は甘く、自然の傾斜をそのまま残しています。曲輪の周囲もきちんとした切岸にはなっておらず、大手口と思われる経路上に腰曲輪を組み合わせたものがある程度です。那須氏の城館によく見られる大規模な横堀などはなく、それどころか堀切らしきものも見当たらないという、ごくごく原始的な山城の形態を残しています。

現在の高館城は自然公園として綺麗に整備されています。ここは遺構よりも何よりも、その山頂からの景色がまさに絶景。広がる那須野の原、遠く聳える那須高原や日光連山、そして眼下を黒々と蛇行する那珂川の美しさ。何度か足を運んでいますが、季節や時間帯によっても様々な違った色彩の景色が見られ、心奪われるものがあります。この景色、ぜひ味わってほしいです。想像を逞しくすれば、弓の稽古に汗をかく那須与一の姿や、不敵な笑みで采配を振るう大関高増などの姿が浮かんでくる・・・かもしれません。

[2005.04.18]

高館城平面図(左)、鳥瞰図(右)

※クリックすると拡大します。

 

夕暮れ時の高館城。周囲は急峻な崖です。なかなか目立つ山なので場所はすぐわかるでしょう。それにしても那須の夕暮れ時は美しい・・・。 駐車場から主郭へと向かう経路はかつての登城路か。腰曲輪の間を縫うように登って行きます。
その腰曲輪を上から。このあたりが最もお城っぽいところでしょうか。 綺麗に整備された主郭。ちょっとしたあづまやなども建っており、家族連れやドライブにも良いかも。
主郭の祠の周りに円形に盛られた土居。fどうも狼煙台に見えてしまうのはお城バカの目の錯覚だろうか。。。 主郭から二郭方面を見下ろす。曲輪は削平は完全ではなく、切岸も甘くほとんど自然地形のままです。
何より素晴らしいのがこの景色。この写真は北側を写したもの。緩やかな那須の平原、遠く輝く那須高原が美しい。 こちらは南側。はるか水戸まで流れ下っていく那珂川の黒々した蛇行ラインがまた素晴らしい。
一応V曲輪とした北東側の尾根続き。定石通りであれば堀切などがあってjも不思議ではないところですが、そうした人工的なものはあまりありません。 駐車場を挟んで、こんもり盛り上がった神社の高台。北方への物見だったか。

 

 

交通アクセス

東北自動車道「那須」ICまたは「西那須野塩原」IC車20分。

バス等の公共交通は不明。

周辺地情報

黒羽城は絶対外せない。北の伊王野城も多少ヤブですがなかなか良いです。

関連サイト

 

 

参考文献

「那須の戦国時代」(北那須郷土史研究会 編)

「栃木の城」(下野新聞社)

参考サイト

余湖くんのホームページ日本を歩きつくそう!飛騨の山猿大王

 

埋もれた古城 表紙 上へ