武田氏が築いた久留里城の前身

古久留里城

くるりじょう Kururi-Jo

別名:雨城、上の城、上ん城

千葉県君津市久留里

城の種別 中世山城

築城時期

康正年間初期(1455)頃

築城者

真里谷武田氏

主要城主

真里谷武田氏、勝氏、里見氏

遺構

曲輪、堀切

近世三ノ丸より見上げる古久留里城<<2002年02月16日>>

歴史

伝承では、平将門の三男、東少輔頼胤が浦田妙見に参詣の際、夢の中でのお告げにより築城した、と言われる。

史実としての久留里城は、甲斐源氏の支族である上総武田氏の祖、武田信長が康正元(1455)年に上総守護代に任ぜられ、翌年に真里谷庁南の二城を築いた直後に築城されたと思われる。信長は三男・信房に久留里城を与えた。この頃の久留里城は現在の久留里城の北方500mほどの峰続き上にあった。その後、武田氏一門の勝真勝(すぐろしんしょう)が城主のときに里見成義(実在に疑義あり・実際は実堯か?)により無血開城し里見の属城となったといわれる。天文四(1535)年の武田氏の内紛に乗じて、北進した里見義堯があらたに城地を定め、新規に久留里城を築き本拠とした。新しく取り立てられた久留里城は近世城郭として廃藩置県まで利用された。

久留里城は二ノ丸の資料館や山頂の復原天守などが整備されて、ハイカーや家族連れで賑っています。僕は結構この久留里城が好きで、たびたび立ち寄っていますが、もうひとつの久留里城、真里谷氏の築いた旧い久留里城のことはあまり知られていません。こちらは久留里城の尾根続きに500mほど北上した山の上、全く整備されていない藪の中に眠っています。伝承によれば、真里谷武田氏の一族がこの久留里の地に最初に築城したのがこの「伝・古久留里城」だと言われています。のちに里見氏が上総に進出し、その中心拠点とした際に現在「久留里城」として知られる新城を築いて移ったものといわれています。武田氏の一族・勝真勝が建立した真勝寺の裏手にあたり、地元では「上の城」「うえ(上)ん城」と言われています。また、この真勝寺の山門は、古久留里城の城門であると言われています。

この里見氏の久留里進駐の時期には諸説がありますが、一致しているのは勝真勝が無血開城したということ。一族の真里谷武田氏が内紛続きで勢力が衰えたのを利用して、里見氏が計略したものでしょう。里見氏の新城築城の理由も不明ですが、この古久留里城があまりに峻険で不便だった、あるいは手狭になった、また現実的に考えれば武田氏に繋がる勝氏が居住していた城をそのまま利用することに防衛上の不利を感じて新規築城した、などの理由が考えられます。

真勝寺と、隣接する秋葉神社方面には城郭遺構の一部と思われる削平地(現在は墓地)が続いていますが、山頂方面へアプローチする道は見つけられませんでした。久留里城方面からも道はありませんが、尾根が一段下がっているトンネル上の尾根筋を通って南側の尾根から進入を試みました。急斜面の藪ではありますが登れないほどのものではありません。途中で二条の堀切を確認しました。山上に出ると細長い土塁状の曲輪(?)などがありましたが、そこから先は半端ではない藪が密生していることと、斜面が急で崩落箇所が見られることから危険と判断し下山しました。よっていわゆる「主郭」部分には到達していません。まあ仮に到達したとしても、あまりハッキリした遺構もなく、藪に覆われて確認できないのではないでしょうか。ちょっと負け惜しみですが。ちなみに下山は西側の小櫃川方面に降りたのですが、はっきり言って崖でした。危ない危ない。ところどころコンクリで法面補強しているくらいですから。やっぱり尾根筋のトンネル方面に降りた方が良かったみたいです。

小櫃川旧河道方面から見上げる上の城。比高差こそたいしたことが無いものの、痩せ尾根に急勾配の典型的要害。この写真の右側(南側)の尾根続きに、新しい久留里城があります。 アプローチする道は無い。久留里城方面からトンネル上の峰の鞍部を通って藪こぎ。まず堀切をみつけてひと安心。
その堀切はそのまま竪堀に繋がっていました。別に珍しくもなんともないですが、こういう分かりやすい遺構を見つけるとホッとします。 もひとつ堀切。こちらは結構規模が大きく、そのまま尾根筋を登るのは不可能。止むを得ず木の根につかまりながら東側の斜面に移動して登りました。
何の説明も要りません。藪です。半端じゃありません。何度も転びました。 久留里市場方面には、勝真勝が寄進したといわれる真勝寺があります。寺伝ではこの門は上の城の移築城門だとか。ここは居館だったかも知れませんね。
まあ未整備の城郭ですからね、堀切がはっきり見えただけでも良しとしないと。ちゃんとした城が見たい人は普通に久留里城を見て欲しいです。なお、真勝寺には幕末の久留里藩主、黒田直養公のお墓があります。

 

交通アクセス

JR久留里線「久留里」駅徒歩30分

館山自動車道「木更津北」ICより国道409、410号線30分。

周辺地情報

素直に久留里城を見てください。天守だけでなく、各支峰には堀切や削平地、切通しなどもあって、結構楽しめます。

関連サイト

 

 

参考文献

「久留里城誌」(久留里城再建協力会)、「房総の古城址めぐり(上)」(府馬清/有峰書店新社)、現地配布資料

参考サイト

 

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