攻城雑記その17 |
戦い済んで・・・ |
13/03/04 |
先に、「邪悪な戦争」「イラク戦争への抗議表明」と題して、米英のイラクへの武力行使に対する危惧と日本政府の対応について意見を述べさせてもらった。 サダム・フセイン政権が崩壊し、イラク全土が米英を中心とする部隊に制圧された今をもってしても、まだ決して戦いが済んだわけではない。なにより、これから「復興」という課題、それに国際社会と戦争被害者の心に残された「しこり」を癒さなければならないという、難題を抱えている。 戦いそのものは、米英軍の圧倒的な軍事力の前に、サダム・フセイン政権はあっけないほどもろくも崩れ、米英の目論見は達成したかに見える。 しかし、その「国と国の威信の戦い」の陰で、死んでいった人々の何と多いことか・・・。 その多くは名も知らぬ市民や罪無き子供であったり、上官の命に従って闘った名も無き兵卒(これは両軍とも)たちである。 戦争には常に「大義名分」が掲げられ、双方が「正義」を叫ぶ、その先には果てしなき破壊と空虚、癒えることのない悲しみと憎悪だけが残ることを、我々は過去の歴史から学んできたはずではなかったのだろうか? そして無法地帯と化したバグダッドでは放火と略奪の嵐。今も昔も、いくさの後の乱暴狼藉は変わらない。失われた人類の文化遺産は、いつか取り戻すことができるのだろうか? さらに、残された人々の悲しみと憎悪を癒す手段があるのだろうか?その痛みを乗り越えていくために、人類はあと何十年、何百年、何千年待たなければならないのだろうか? 人類は、なぜ互いに「よき隣人」になれないのだろうか? 我々は、過去から何を学んできたのだろうか? 残された課題はあまりにも重い。我々はこの重さから逃れることはできない。その重き課題を背負いながら、この戦争についての意見を終えたいと思う。 |