桃太郎伝説の地、吉備。この主人公、桃太郎が大和朝廷から派遣された吉備津彦、鬼の方は製鉄技術に長けた渡来人、温羅(うら)だったと伝承される。そしてその温羅が立てこもって吉備津彦軍を迎えたのが、この鬼ノ城だというのが伝説の世界。
しかし現在では、上記のように大和朝廷の山城ネットワークの一部ではないかと言う説が有力です。ただ、昔の人々がここを鬼の棲む城だと思ったのは大いに頷けるところです。険しい山の尾根上に延々と続く砦、謎の石塁群、これらを見た民衆が鬼の仕業と思うのも無理からぬところではあります。かくいう僕も、第一印象は「ここは地獄か?」と思うような地形ですから。
高梁へ向かう途中、ヤケに目に付く「鬼ノ城」の道標。ついつい釣られて見てしまいました。これがなかなか良い。これまで見てきた中世中心の山城とは異なり、謎に包まれた古代の城ですが、荒々しい地形と尾根筋の傾斜を生かした築城は後世のお手本とも言うべきもの。しかし、道は険しく長い。広大な城域をとても全て見る時間は無く、ほんの一部だけの見学となってしまいました。