攻城雑記その19

平成の大合併

13/03/04

「平成の大合併」とやらが大流行し始めている。「市町村合併」である。

これまでも数多くの市町村の合併が行われてきたし、別段それに反対するわけでもない。行政のスリム化、ムダの排除のひとつと思えばある程度納得もいく。ただ、それによって事実上「吸収合併」されて消えてゆく市町村の人々が、以前よりも不便になったり、末端まで行き届かないような行政であったりしないことを祈るのみである。

今回は別にそういう政治向きの話ではない。「地名」の話である。

市町村合併によって、由緒ある地名の多くが消えてゆく。寂しいことである。しかし、寂しいだけではない。「お城めぐり族」には思わぬ副作用が待っている。

ただでさえわかりにくいお城の場所。「小字○○」とかいっても、小字まで出ている地図なんて市販の地図では皆無に等しいし、住んでる人ですら小字なんて知らない。そんな状況、誰でも直面したことがあるだろう。

今度の「平成の大合併」によってそれがさらに面倒なことになる。参考書で「○○郡△△町城内町」みたいな表記をされていても、○○郡も△△町も消えてなくなり、「城内町」のような地名も消えて、ありがちな「★★ヶ丘」とか「☆☆台」、あるいはそっけなく「本町」みたいな名前になってしまい、現地に行っても現在地を特定することすら困難になってしまう。おまけにこの新地名、地元の人にもまだ浸透しておらず、電柱などの地名表記も旧いものと新しいものがゴチャゴチャに混在していて、さらに混乱する。これらの混乱は慣れの問題、時が解決する問題であるとは思うが、せめて大字名などはそのまま残してもらいたいものである。だいたい、新興住宅地にありがちな「★★ヶ丘」「☆☆台」という名前、そもそもなにやら浮き上がって聞こえてしまい、違和感を禁じえない。テレビドラマやアニメの世界じゃあるまいし、もうちょっと現実味のある、というか、血の通った地名はないものであろうか。古くから伝わる由緒ある地名を残すことはできなないものだろうか。

もうちょっと個人寄りの話をすると、今持っている地図、カーナビのソフト、すべて旧地名である。正直なところ、わざわざ買いなおすのもアホらしい。しかし、いずれ大合併が進行すれば、これらの地図はほとんど買いなおしを迫られるだろう。しかも、地名がすっかり変わってしまったりするため、「付け合せ」用に古い地図と新しい地図、両方使わないといけない、そんな事態も十分に考えられる。

さらに少々行政寄りの話をすると、史跡に対する市町村の温度差も気になるところである。ある町では町指定史跡として保護していたものが、新しい市でもきちんと護られていくのだろうか。市町村によってこの辺りの温度差があるのは周知の事実だし、まして史跡指定されていない城址についてはどうなっちゃうの?と不安を禁じえない。先日合併したある町のホームページには、お城の歴史、町の歴史や周辺の見所などが詳細に紹介されていてなかなか好感が持てるサイトだったが、合併してしまった現在ではその町のサイトは閉鎖され、新しい市のホームページではそのお城の情報も、歴史も何も掲載されていない。こうした情報提供も、合併のゴタゴタを通り過ぎれば徐々に良くなっていくのかもしれないが、一抹の不安はやはり禁じえない。

別に合併に異議を唱えるつもりはないけれど、市町村が新しくなっても、その町、その土地の歴史は大切に語り継いでもらいたいものである。

なお、このサイトでは原則、記事を書いた日時点の地名を使うこととする。もちろん例外もあるものの、そうしないと、自分でもワケがわからなくなるからである。いや、ホントは記載を直すのがメンドクサイ、それだけかも知れないが。。。

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