攻城雑記その10

城を鑑賞する楽しみ

13/03/04

いまさら言うのも何なのですが、城を訪れる・観る・見る、その楽しみについて語ってみたいと思います。あくまで僕の個人的な楽しみ方ですが、皆さんが城を訪れる際の参考になれば幸いです。

@自然の地形を楽しむ

城は多かれ少なかれ、要害の地に築かれているもの。それは急峻な山だったり、侵食谷に面した急崖だったり、湖沼、泥田、あるいは海だったりします。この自然の地形をどう生かしながら縄張されているか、目ぼしい遺構が残っていなくても、まずこれだけでも楽しめます。もちろん、干拓や新田開発、自然の侵食や地震、都市化と宅地開発などで地形や地勢が変わってしまって、「沼なんてどこにも無いよ!」なんてこともままありますが、そこはイマジネーションでカバーするのです。だから僕は大抵の場合(特に遺構に期待できない場合)、まず外周を廻って地形・地勢や傾斜、川の位置などを頭に叩き込むようにしています。

A巧妙な縄張を楽しむ

さて、その要害をどう築城に生かしているか、これも大きな楽しみです。自然の地形をそのまま使っている場合もありますが、天然の沢を掘り下げて竪堀にしていたり、尾根のくびれを利用して堀切にしていたり、逆に城として利用に向かない地形、言ってみれば弱点にあたる地形を大幅に改変して曲輪を設けたり、石垣を積み上げたり、土塁や堀でカバーしている場合が多いのです。こういう人間の工夫を見るのは楽しいものです。縄張図が無くても、自然の地形から推測して「ここに堀切がある筈だ」なんて想像しながら遺構を探す、そしてその通りに遺構が見つかったときなどは一人でひそかに悦に入っています。

B遺構の細部を検討する

もっと極微的に、虎口の形状、堀の形状や横矢のかかり方、石垣の積み方などをじっくり観察します。観察していくうちに、その遺構がなぜそこに存在するのかが自分なりに理解できるようになるのがこれまた楽しい。しかし、中にはどうしても築城者の意図が読みきれない場合なんかもあって、それはそれで後々まで検討できる課題にもなります。遺構そのものの壮大さ、巧妙さ、美しさに感動することも珍しくありません。ただ、これをやってると時間がかかってしまうので、すべての場所で出来るわけではないです。

C遠い時代に思いを寄せる

やっぱり究極はこれでしょう。そこに築城を決意するまでのいきさつや、そこで行われた政や外敵との戦い、時には一族の内紛まで、断片的な知識と想像力を織り交ぜながらあれこれ夢想するわけです。もちろん事前にある程度調べたり、あるいは小説などで登場する印象的な舞台であればなおその楽しみは拡がるわけです。

D時には出会いも

基本的にはひとりで出かけて誰もいないようなところで一人で静かに見学するのが好きなのですが、時には底でであった人々とのささやかな「ふれあい」があることも。竹田城で出会った人は同じ千葉県の人でした。その人とは有子山城でも遭いました。その有子山では、たまたま山頂に居合わせたグループの人に煎れたてのコーヒーを頂きました。時には道に迷った見学者を案内したり、「これは何?」なんて悩んでいる人にちょっとばかり知ったかぶりして講釈を垂れたりもします。旅というには大袈裟ですが、こういうささやかな出会いも、行ってみなければ味わえません。

E景色を楽しむ

(笑)単なるピクニックの延長みたいなものですが、でも山の上から見渡す絶景や雄大な川の流れ、沈む夕陽を眺める、というのも素朴にいいものです。あと、森の中に分け入った時の土と木の匂い。昔は山歩きなって全然好きじゃなかったのに、山の中の空気は気持ちを和ませてくれます。ヒーリングとでもいうんですかね、これ。

F食べ物を楽しむ

あああ、単なる旅グルメみたいな話になってしまう・・・。僕は基本的に旅先ではあんまり多くのモノを食べないんです。日中は少しでも多くの城を見たいし、食べるということは「出る」ものもあるわけで、トイレの無い山の中で「催す」危険を考えると、必要以上に食べないのが一番、とか思っちゃいます。それでも、一日の終わりに何かうまいもんでも食うべ〜!ということでご当地の名物などを食すこともあります。大概車なのでお酒はまず飲みません。

実はこうやって、シコシコと自分のWebサイト作るのも楽しみだったりする。

 

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