林小城

林小城は「大嵩崎」集落を挟んで林大城の南西に位置する峰にあり、主郭は標高796m、比高は160mあまりです。林大城に比べて小さいことは小さいのですが、遺構そのものは大城よりもむしろハッキリしていて、特に主郭の石積みは見事です。縄張的に林大城や他の小笠原氏系山城と共通する要素も多く、見所そのものは大城に決して負けません。

まともな道らしい道がないのが難点ですが、アプローチとしては、大嵩崎集落への途中にある「林小城」の解説板附近から、舗装道路を外れて右手の山沿いの砂利道を進み、道が山林へ入るあたりで右手の山に取り付いて直登するのが最も早いかと思われます。もっとも道なき道の直登なので、ちょっと辛いかもしれません。また、小城の山の北側先端に「小岩井家」の墓所があり、その裏手にかなり急ですが林業用か何かの小道があります。

 

 ←林小城平面図(クリックすると拡大します)

小城の山麓の低湿地。どうやら山の上には水の手が無く、山麓のこうした湧水を汲んで登っていたらしいです。 小城は先端の尾根が二俣に分かれており、その間の谷戸に段々の小曲輪が続きます。

尾根上にも段々の曲輪が。こうしたシツコイほどの小曲輪の連続技は小笠原流の特徴のひとつでしょう。 U曲輪の先端附近からは、ところどころに石積みが見られるようになります。

写真ははっきしりませんが竪堀(堀3)です。このお城もあちこちに竪堀が設けられています。 主郭先端の石積みは曲輪の縁をグルリと巡っています。この石積みは実に素晴らしく、これだけのためにでも登る価値があります。

石積みを接写するワカレンジャー殿。ソレガシ含め、常総勢には石積みに飢えていますので・・・。 木々に覆われた主郭。文字の消えた標柱が立っていました。背後には高さ3mにも及ぶ大土塁があります。

主郭西側の虎口附近の石積み。石積みを伴う土塁によって、枡形のような区画を形勢しています。 主郭背後の大堀切5。当然両端は長い竪堀になっています。

搦手側から見る堀5と主郭の切岸。主郭背後は堀切に面して武者走り状の小さな平場を一段設けています。 背後の尾根筋を登ると、あちこちに竪堀があります。写真は堀7。ここはふたつの竪堀が合流します。

浅い竪堀が長く続く堀10。こうした浅い堀がどの程度防御力があるものか、疑問ではあります。 さらに上には堀11が。このあたりは若干山の上が平らになっているものの、削平はされておらず自然の地山のまま。

林城

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