【関東鉄道の踏切にて(茨城県)】 2003.09.06

関城周辺、「騰波ノ江」駅手前の踏切である。かつての大湖沼地帯は広大な農地や宅地に生まれ変わったが、地底に眠る湖沼地帯の息吹は、早朝に目覚めて霧となって地表に現れる。この乳白色の霧の中を、二本のレールが伸びてゆく。線路は霧の向こうに、どこまでも続いている。じっと見つめていると、思わずふっと、知らない世界へ引きずり込まれていくような、そんな錯覚に襲われる。
「遠い世界へ旅に出ようか」
そんなささやきが聞こえてくるようである。

埋もれた古城 表紙 上へ